歯科治療の考え方
歯科治療はそのほとんどが「手を動かす」事によって行われます。治療時間は、簡単な処置を除いて、1人の患者さんに対して少なくとも30分は必要だと思っています。また治療行為のできるだけ多くの部分は、スタッフではなく歯科医師自身の手で行われるべきだと考えます。

予約診療
そこで、当医院では「30分(1単位)に1人」の予約診療を行っています。その時間は、御予約していただいた方1人を治療するための時間です。(ただし、レントゲン写真の現像待ちの時間や麻酔が効いてくるまでの時間などを、急患に対しての応急処置、歯を抜いた後の消毒などの簡単な処置のために使わせていただく事もあります。)

タオルの不思議
治療の時の「お腹を上にして横たわる姿勢」は野生動物においては「まいりました。食べて下さい。」というポーズなので、潜在的に恐怖心を感じる姿勢なのだそうです。
ところが、この潜在的な恐怖心は、お腹の上に1枚布がかかっているだけで緩和されるのだそうです。一番最初に食べられてしまうお腹の部分が守られているというのは人間(人間だって動物だ!)にとっても安心できる体勢なのです。赤ちゃんをお風呂に入れる時、お腹の上にガーゼをかけてあげると赤ちゃんが安心するのというのも同じ理由だそうです。
当院では治療の際、ひざ掛け代わりにバスタオルをお掛けしています。女性の方がスカートの裾を気にしなくて良い様に、足下が冷えない様に(足下や手先を暖かくしておく事は心身をリラックスさせるための第1歩です。)という意味もありますが治療に対して恐怖感の強い方は、試しにお腹の上にかけてみて下さい。
タオルやひざ掛けのない歯科医院にかかっている方は御自分の上着などをかければ同じ事です。

診療室のBGM
当院では「待合室」と「診療室」で別のBGMを流しています。
患者さんのリラクゼーションとクールダウンが目的の待合室は、当然「ヒーリング系」のBGMで良いのですが、あの手の曲を診療室で1日中流していると診療スタッフの方まで眠くなってしまうのです。患者さんが診療室の中にいるのは30分か1時間くらいですが、スタッフは何時間もその中にいるので、特に昼下がりは「ヒーリング系」はきつい!
診療室のBGMの目的は、「リラクゼーション」より「サウンドマスキング」です。
「静まりかえった暗闇に突如鳴り響く電話の音」はホラー映画の定石ですが、音のない所にいきなり音がするとビクッとします。ところが、あらかじめ音の刺激が耳に入っている状態では、次に入ってきた音は実際の音の刺激よりも小さく感じるのです。つまり、BGMによってあの『キーン』や『ガー』や『カチャカチャ』という恐怖心をあおる音が小さく感じるようにするのが「サウンドマスキング効果」というわけです。
その観点から、診療室のBGMは「ヒーリング系」より、もっとリズムもメロディーも音圧もあるものが良いと考えています。